第34回
日本リハビリテーション医学会学術集会

人間の機能の科学としてのリハビリテーション医学

 

会長:近藤 徹

(埼玉医科大学リハビリテーション医学教室)


会 期: 平成9年8月31日(日)・9月1日(月)・9月2日(火)

会 場: 国立京都国際会館
     京都市左京区宝ヶ池 TEL 075-705-1234

 


<講演抄録>

脳卒中後片麻痺患者の合併症の発生とその関連要因について

医療法人ちゅうざん会 ちゅうざん病院リハビリテーション科

末永英文・今村義典・戸田 ゆみ子・仲嶺時雄・宮良長和

神戸大学医学部保健学科

嶋田智明

脳卒中後片麻痺患者の合併症に着目し、その発生頻度とその関連要因を明らかにする目的で、入院患者257名を対象に実態調査を実施し、いくつかの知見を得たので若干の考察を加えて報告する。

対象と方法: リハビリ治療目的で入院した脳卒中患者257名(男125名、女132名)平均年齢67.7±11.2歳である。 以上を対象に (1) 健側上下肢の関節可動域、(2) 健側上下肢および体幹筋の筋力、(3) 起立性低血圧、(4) 尿路感染、(5) 呼吸器感染、(6) 胃十二指腸潰瘍、(7) 褥瘡、(8) 骨折、(9) 変形、痛みの発生の有無等について、その発生頻度と関連要因(年齢、麻痺の左右別、感覚障害、知能、入院、リハ開始期間等)について統計学的に検討した。

結果と考察: 合併症の発生頻度では、健側上下肢および体幹筋の筋力低下(38%)、健側上下肢関節可動域の低下等、いわゆる健側機能の低下が上位を占め廃用症候群以外の原因も考えられた。 関連要因として、年齢、入院までの時期、リハビリ治療開始までの期間、痴呆、深部感覚障害等が深く関係することが判明した(P<0.05)。 多くの合併症は予防が可能であり、脳卒中発症後の系統だったリハビリ治療の重要性が改めて強調される結果を得た。

 


<講演抄録>

リハビリテーション阻害因子としての中枢性疼痛の治療

医療法人ちゅうざん会 ちゅうざん病院リハビリテーション科

戸田 ゆみ子・今村義典・末永英文・仲嶺時雄・宮良長和

脳卒中後片麻痺患者の機能訓練には、さまざまな合併症の出現でリハ訓練治療が阻害されることがある。 その中に痛みがあり、患者本人や家族、セラピストにとっても問題となる。 また、疼痛のためリハ訓練を拒否し、更にニ次的合併症の原因ともなっている。 中でも異常感覚を伴う中枢性疼痛は管理に難渋することが多いようである。 今回、発症早期よりの中枢性疼痛が原因で廃用症候群になってしまった例、訓練中に阻害因子として問題となった例の治療に、三環系抗うつ剤イミプラミンが有効であり、リハ効果を改善した例について検討したので報告する。

対象と方法: 年齢40歳〜74歳の脳卒中後片麻痺患者15例 (脳出血 8例、脳梗塞5例、くも膜下出血2例) についてCT所見より病巣の特徴、疼痛出現までの期間、各種治療薬への反応状況、治療の期間、左右麻痺等臨床像の特徴、FIMによるADLの変化について検索した。

結果: 2例は1年以上経過し、前医で疼痛のためリハを拒否、在宅で寝たきり状態であったが、在宅訪問で偶然発見しイミプラミン投与により、1例は歩行可能となり、1例は股・膝・足関節の拘縮高度であったが、車椅子にてデイサービスに参加するまでに改善。他の13例は、発症後2〜4ヶ月で入院リハビリ治療中疼痛出現、リハ訓練拒否を訴えるようになった。そのうちの5例に失語症の合併があり、疼痛の表現が不明確なため診断が困難であったが、CT所見より全例ともすでに報告した視床病変を認め、中枢性疼痛の発症の予測が可能であった。