第5回
介護力強化病院全国研究会

「高齢者に選ばれる介護力強化病院をめざして」

 


日 程:平成9年10月31日・11月1日(金・土)

会 場: パシフィコ横浜 国立横浜国際会議場
(国立大ホール) 会議センター

主 催: 介護力強化病院連絡協議会

〒160 東京都新宿区新宿1−1−7
コスモス新宿御苑ビル9階
TEL: 03-3355-3120 FAX: 03-3355-3122

 


<講演抄録>

寝たきり患者の胃瘻造設−在宅へのアプローチ

医療法人ちゆうざん会ちゆうざん病院

看護婦 〇兼城栄子・西平桂子・仲間洋子・松田茂雄・安里ひろみ・饒平名純治

友利喜美江・山内留美子・比嘉京子・新垣絹子・米澤真佐江

 はじめに: 当院の入院患者の83%が脳血管障害を有しており、救急病院より経鼻胃内栄養状態で入院してくる患者は30%である。 そのうち、半数以上の患者は介護を中心とし、言語療法士などの関わりにより経口摂取可能となるが、経鼻胃内栄養を持続する患者もいる。 栄養としてカロリーは補給できても、長期挿入していると感染や、本人の精神的苦痛や異物挿入による不快感など多くの問題がある。 又、在宅に促すにしても介護者の不安もあり、経鼻胃内栄養挿入したまま在宅へ受け入れるのは困難であった。 そのため、当院では管理しやすい胃瘻チューブに切り換えることにより、在宅促進が容易になってきた。 そこで、今回、私たちは胃瘻造設をし、在宅可能となった事例をまとめてみた。

対象及び内容: 平成8年1月〜平成9年3月までの1年2ヶ月間に当院で胃瘻造設した患者の概要及び1事例を通して入院から胃瘻造設、在宅へとアプローチし、訪問看護に継続した過程を紹介する。

「事例紹介」

患者: M.N. 45歳 女性 未婚

疾患名: 脳底動脈解離 脳幹部梗塞

家族構成: 母親 兄夫婦 姪と5人暮らし

入院期間: 平成8年1月12日〜平成8年6月29日

考察: 胃瘻造設の承諾を得るまでには数多くのドラマが展開している。 Mさんの場合も母親と兄を説得するのに困難を要した。 同室で胃瘻造設している患者を紹介したり、経鼻胃内栄養を続けているケースの苦痛、管理の相違点等を詳細に患者の立場になって考えながら説得していった。 決して経口摂取を不可能にするのではなく、嚥下訓練が容易になる等、利点を紹介することによって納得した上で胃瘻造設することができた。 大きなステップを踏んでしまうと、在宅支援計画はケースワーカーを中心に保健婦と連携しスムーズに実施することができた。 Mさんも退院前の不安は大きかったが、今では当院からの訪問及び地域に支えられ、穏やかな日々を送っている。 このように在宅へ移行できたケースは少ない。 社会的に問題をかかえ、長期に入院している障害者がー人でも多く退院できるように日々努力していきたい。


<講演抄録>

単身障害者への在宅支援- その問題点と今後・の課題 -

医療法人 ちゅうざん会ちゅうざん病院

医療相談室 〇崎山 須雅子・又吉 智子

 

当院は沖縄県本島の中部に位置するリハビリテーション専門病院です。 病床数216床と、デイケア、他に訪問診察、訪問看護、訪問リハビリ、訪問薬剤管理、訪問栄養指導を行っており、心の通い合う医療をモットーに患者さんの家庭復帰、社会復帰をめざしています。

当院では脳血管障害による後遺症を待った方が約80%であり、入院中、外来通院ともにリハビリテーションをうけるが、何らかの障害を待ったまま生活をおくり、医療的な支援以外に日常生活に支援を必要とする方が多くいます。 その援助形態には、ベッド・車椅子・ポータブルトイレなど物的援助や、入浴介助・家事介助などの人的援助など、それぞれが持つ障害やその人をとりまく周りの環境によっても異なり、援助方法も多様となります。 本来なら、本人や家族の希望通りの生活や援助を利用する事ができれば望ましいのですが、困難な場合が多く、それによる退院、在宅困難が生じ、当院にも社会的入院にあてはまる方が3割をしめている現状です。

当院の医療相談室でも、特に援助に時間や他機関との連絡調整を必要とし、入院の長期化による社会生活力の低下から、様々な問題をかかえているのが単身者のかたです。

今回は、日頃医療相談室で関わる、入院から退院までの取り組みのなかから、事例を通して、在宅支援の問題点と今後の課題を報告します。


<講演抄録>

アンケート調査からのー考寮−毎日の入浴について−

医療法人ちゅうざん会ちゅうざん病院

介護職 〇山城小百合、喜友名桂子、宮城八重子、岸本 久哲

看護婦 工藤由美子、山川 優子、中村八代美、与那覇悦子

 

ちゆうざん病院は、脳血管障害による後遺症をもつ患者が全体の約8割を占め、理学療法士・作業療法士・言語療法士による、リハビリテーションが実施されている。 そこで、病棟では、患者がより快適な入院生活を送れるように援助している。

人間は生活していく中で、食事・睡眠・清潔などの欲求を習慣化している。 しかし、入院することで、長年築き上げた生活習慣を変えざるを得ないこともある。 そのーつに入浴があげられる。

当院では以前、週3回の入浴を行っていた。 しかし、毎日入浴した方がよいのではないか、という理由から毎日の入浴を実施している。 実施後、1年を経過した現在、患者とその家族、入浴介助に関わるスタッフが「入浴」について、どのように考えているかを知るためにアンケート調査を行った。 その結果以下のことがわかった。

1 年齢に関係なく毎日入浴したい

2 体臭が減り身奇麗になった

3 全身状態の観察が行え、コミュニケーションの時間が増えた

4 家族の洗濯物の負担が大きくなった

5 入浴形態に地域性がある

病院におけるより良い入浴のあり方についてのアンケート調査結果をここに報告する。


<講演抄録>

当院における病棟ADLの向上を目指して−病棟訓練を実施するにあたって−

医療法人ちゅうざん会ちゅうざん病院

作業療法士 ○大仲美由紀、上地有樹子、兼城 賢也

 

はじめに: 「病棟ADLは身体機能レベル(できるADL)とは異なる。」と近年多くの文献や報告で示され、その原因として環境条件、習慣化の問題.患者の意欲の問題等が指摘されている。

当院では「するADL」の向上に向けて理学療法士(以下PTと略す)が中心となって病棟訓練を実践しており,今回、作業療法士(以下OTと略す)の増員に伴い、病棟ADLを評価した上で、OTも病棟訓練をどのように行なっていくか、を合わせて検討することにした。 「できるADL」と「しているADL」の差を出した。 その差の原因を追求するため、PT及び病棟職員に意識調査(アンケート)を行い、職員を含めた環境について検討し、どのように病棟訓練を行なっていくかを考察したのでここに報告する。

対象と方法: 当院にリハビリテーション目的で入院(平均発症後期間4.7±3.1月、平均入院期間2.5±2.4月)し、OT処方された脳卒中片麻痺患者41名。 その内訳は、脳出血27名・脳梗塞14名で、麻痺側は右側20名・左側21名で、性別は男17名・女24名、平均年令64.3±12,7歳であった。

1997年6月にFunctional Independence Measure(以下FIMと略す)を使用し、FIMの原則とは異なるが、OTは患者の最大の能力(訓練室または病棟でのADL)を評価し、病棟職員は日常患者が行なっているADLの能力を評価し、それぞれ得点化した。 その結果、差の大きかったセルフケア5項目(整容・清拭・更衣(上半身)・更衣(下半身)・トイレ動作)に着目し、その原因について、PT職員・病棟職員に以下の意識調査(アンケート)を実施した。

 アンケート内容

I. 病棟職員 (1)人数について (2)時間について (3)場所について

(4)介護方法について (5)PTの病棟訓練について (6)今後について

II. PT職員 (1)人数について (2)時間について (3)場所について

(4)病棟訓練の取り組み方法について (5)今後について


<講演抄録>

服薬指導における患者の意識調査

医療法人ちゅうざん会 ちゅうざん病院

薬剤師 ○砂川 秀樹、瑞慶山より子、眞喜志 泉

 

目的: 当院では平成元年度(1989年)より薬剤師による病棟活動を開始し、平成8年5月以降には薬剤管理指導の施設基準概要に基づく服薬指導も行なっております。 病棟活動を行なうことにより、病棟スタッフや入院患者とのコミュニケーションが増し、さらに新患力ンファレンスやケースカンファレンス等への参加により、薬局内における業務のみでは把握することが困難であった、患者さんに関する情報収集が可能になりました。 現在は、以前にもまして病棟内での服薬指導に力を注ぎ、より効果的な指導になるよう努めているつもりであります。

しかし、現在行なっている服薬指導が患者にとって本当に適切な指導内容であるのか、また、患者が私たち薬剤師に対してどのような印象を持っているのか、今一度服薬指導の意義を見つめ直す目的で、下記の条件に該当する患者さんを対象に服薬指導に関する意識調査を行なった。

対象と方法: 現在、服薬指導を行なっている患者さんのうち、(1) 内服薬を個人で管理できる、(2) 服薬指導内容についての理解が可能である、(3) ある程度意思疎通が可能である、という3つの条件を満たす患者さんを選出し、調査を実施した。

まとめ: 私たちには十分な内容であるように考えられる服薬指導でも、それが必すしも患者さんに必要とされる服薬指導とは限らない。 私たちはもっと患者さんの立場を理解し、患者さんが何を求めているのかを考え、型にはまった服薬指導だけにとどまらず、お互いのコミュニケーションを深め、より充実した指導を心がけていく必要があると認識した。


<講演抄録>

病院経営における事務部門の役割−自己分析・今後の課題−

医療法人ちゅうざん会 ちゅうざん病院

医事課 〇比嘉 久美、石川 由美、仲里 左斗子、宮城 節子

経理課 天久 敏子

 

はじめに: 「患者を選ぶ病院」から「患者が病院を選ぶ」時代へ、またサービスを提供出来る病院へと変わりつつある。 病院の窓口とも言える受付、会計、まず患者さん等と接する医療スタッフが事務部門です。 平成2年8月 1日付にて、特例許可老人病院入院医療管理(I)第1号の承認病院となりました。 本年7月の一部病棟種別変更、療養型病床群への移行(2年以内に予定)や介護保険、在宅医の動向を踏まえ、対応していかなくてはならない。 今後、著しく変わる診療報酬及び医療法の改定等に対応すべく、当院の機能をしっかりと見定め、経営効果を検討、事務的分析、事務部門の今後の課題を考える。

方法・取り組み・結果: 病院データは重要なものと考えており、いくつかの統計資料等を作成した。

(1) 当院は入院患者数によってほぼ収入が決定される。老人デイ・ケア、在宅医療部門の促進により、今まで横ばいだった外来収入が延びた。

・病床管理の必要性−入院患者の分類、平均在院日数、稼働率

・診療行為別収入(入院期間別による定額性と出来高の比較的試算)

(2) 行われた医療行為を100%収入に反映させるのが医事課の最大の責務

・診療報酬改定による減収に対する対策及び審査減の発生防止対策と再請求

(3) 新設される診療報酬項目の経営効果を検討、施設基準等や点数解釈の理解の検討

(4) 医療未収金対策

(5) 病院経営管理指標による分析

課題:

1) 保険の動向、院内の状況が見渡せる位置にいるので、病院の進路を決定する際には助言をし、全職種が同じ方向を向くように、組織の中で実務調整役として一体性、協調性を高める。

2) 病院収入源の責務を担った課であるから、入院患者数の確保すなわち病床利用率をハイレベルの位置で安定した状態をいかに図るか、MSWとの連携が不可欠である。

3) レセプト返戻に関しては特に留意し、傾向を分析する。

4) 年々複雑化する診療報酬体系に沿って、適正かつ迅速に対応していくための体制つくり、医事課職員のレベルアップ。

おわりに: 病院は医師を中心とし、多くの医療関係者から成り立つチーム医療で構成され、事務部門における役割分担が明確化されています。 事務部門は病院では中枢的な業務をしているところ、病院収入の大部分が保険算定によるもので、責任は大きく私達の医事知識が病院経営に大きく左右するものだと、それなりの自負をもち頑張っています。患者サービスを基本として、適正な診療報酬請求を心掛けています。